授業風景



 あー、わかんない。

 私は眉を寄せて、黒板に書き込まれた字を何度も見直した。

 やっぱりわかんない。

 その少し崩れた、読みづらい文字を書いている人物を、思いっきり睨みつけてやった。
 …教師相手にこんなことするの、私くらいなものだろうな…。
 幼稚舎からずっとリリアンなのに、いまだにこの空気に馴染めない私は、所詮はぐれ者なんだろう。
 現実逃避も兼ねて、私はふっと黒板から目を逸らした。

 視界の端に彼女が映る。
 彼女は――――、


真面目にノートを取っていた。
突っ伏して居眠りをしていた。
退屈そうに窓の外を見ていた。



---------------------------
up data 04/8/18
マリア様好きに50のお題「29:授業」
配布元=360℃(閉鎖)