特別でないただの一日、でない一日 9「ごめん、ほんとうは」



「そう、ですか」
 静さんは俯きながら、でもどこかで予感していたんだろう。微笑んでいた。
「ごめんね、静さん」
 私は立ち上がりながら、謝る。
 静さんは軽く首を降った。
「いいえ、謝ることなんてありませんよ」

 静さんは一瞬思案するようなしぐさを見せ、私に向き直る。
「あの、さま。もしかして、ほんとうは予定でもあるんですか?」
「えぇ?」
「あるんですね?」
 うっ…。
「…あります」
 その答えに、静さんが満足げに笑う。
「名前、教えていただけますか?」
 やっぱりそう来るか…。

 静さんの、どこかからかうような顔に、私は嘆息した。
 はぁ…ぜったい見透かされてるなぁ。ついでに面白がってる。
 私は力なく、うなだれた。
 逃げられないな、これは。
 しょうがない、とすっぱり諦めて、私はその人の名前を口にした。


水野蓉子
佐藤聖
鳥居江利子
支倉令
小笠原祥子
島津由乃
福沢祐巳
藤堂志摩子



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up data 04/12/24