特別でないただの一日、でない一日 1 朝食で使った食器を片付けて、私はコートを羽織った。 かばんを手にとって、ふとカレンダーを見る。 24日。終業式、と書き込まれたその日は、同時にクリスマスイブでもある。 「…クリスマスイブ、か」 世間一般では、大切な人と過ごす、特別な日といわれている。 その浮ついた雰囲気は、少なからず私にも影響していた。 わけもなく、胸が高鳴る。 今日がいったい、どんな一日になるのか。 私は想像もできず、けれど、とてもいい予感がしていた。 なにかが起こる。 その確信を胸に抱き、見慣れた扉を押し開けた。 「行ってきます」 |